「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.64 | 2018.02.27

別注にごり/紗利 五割諸白 純米大吟醸生

魚介ならこれ!水の郷で醸される
秘剣の如き極上の食中酒ネクストステージ!


2018年02月27日 記


秘剣、つばめ返し!!!

ここは福井県の一乗谷(いちじょうだに)。
450年前、一万人もの人が暮らした城下町跡、
「一乗谷朝倉氏遺跡」で有名な場所だ。

かの織田信長の焼討ちによって灰塵に帰して以降、
元は特になーんもない、田畑が広がる場所だった。

ところが長年の発掘により、
現在は当時の街並みの一部が復原され、
多くの観光客が来訪、その見事さに
悶絶する歴女が後を絶たないという……。



復原街並/出典:一般社団法人 朝倉氏遺跡保存協会 ホームページ

剣豪・佐々木小次郎がその秘剣を
編み出したと伝えられる「一乗滝」は、
息をのむほどに美しく、
滝の入り口に立つ彼の銅像は、
歴女以下、訪れる観光客を出迎えている。



一乗滝/出典:福井県観光情報ホームページ ふくいドットコム

そこから地続き、隣接する水郷、東郷地区に
1938年(昭和13年)創業の酒蔵、毛利酒造はある。

東郷地区、こちらはこちらで名の通った場所。
なんせ水郷だからな。
蔵の前をなみなみと水を湛えた用水路(堂田川)が流れる。

農地、生活用水として利用されてきた水路の
両脇には往時の街道が走り、短い間隔で橋が架かって素敵。
(14橋あるらしい)
鯉もいっぱい泳いでるし、河童もいる。



堂田川(どうでんがわ)/出典:福井県観光情報ホームページ ふくいドットコム

生活に溶け込むように佇む用水路のある風景。
ビンビンに趣きあって、こんなとこに住みたい!
ってな風情もいいけど、一乗滝とか用水路とか
結局何が言いたかったのかというと、
つまりは美味い水の町だってことなんだな。

米処として「東郷米」も全国に名を馳せるわけで、
美味い水と米があれば何ができる?!

「美味い米が炊ける」
ちゃう(違う)!
(お酒でしょーが!)



別注にごり/紗利 五割諸白 純米大吟醸生


720ml はこちら 1800ml はこちら   

「紗利(さり)」という美しい響き、珍しい名前のお酒。

「SARI」とは梵語(サンスクリット語)で「米」を意味する。
ほら、寿司飯のことを「シャリ」って言うじゃなーい。
その語源と言われる言葉さ。
(ちなみに、釈迦の遺骨を意味する
「仏舎利/ぶっしゃり」「舎利/しゃり」の語源でもある)

じゃあなぜ「SARI」かと言えば、
寿司に欠かせないシャリと同じように、
越前の豊かな海の幸にドンピ・シャリと合う
お酒を造りたいと思ったから。
故郷の風土を心底リスペクトしとるんやねー。
好感度高し君。

実際、寿司屋を筆頭に、
魚介にともする酒として紗利を置く
海鮮がウリのお店は多い。

特に「紗利 五割諸白 純米大吟醸」は、
その名の通り、
精米歩合50%(五割)の純米大吟醸なのだが、
寿司の半分を担うシャリに見立てることもでき、
(もう半分はネタだね)
「刺身と紗利で寿司一貫ができあがる」
などと洒落た文句をはく御仁も居る。



紗利揃い踏み! 上の写真左から
・五割諸白(ごわりもろはく)純米大吟醸
・朧月(おぼろづき)純米吟醸滓絡み
・風凛(ふうりん)爽快辛口純米
・花楓(かえで)秋あがり純米
・燗左紫(かんざし)純米酒
※今回の別注にごりにはアルミ包装がありません



さあて、話し戻すけど、
今日のはいつもの「五割諸白」じゃあない。
かがた屋酒店別注の“にごり”だ。
濁っているのに諸白(もろはく)と呼べるのか?!
ってなつまらんことは置いといて……
“生”ってところもスペシャルじゃんっ!

炊き立てのご飯を頬張るかの如く
シャリ(紗利)をグビグビ流し込みたい!




逆さにして、沈んだ澱をゆっくりと混ぜる。
開栓が怖い。吹き出すかも。
少しづつ空気を抜くように開ける。
プシュっとガスが出たけれど、
意外と大丈夫なようだ。
(皆んなも念のため気を付けてね)

粉雪がしんしんと降るがごときエクステリア。
お米のパウダーがゆっくり落ちてきて
スノードームみたいだ。綺麗。

グラスに注いで落ち着いた香りを少々楽しむ。
マスカット様の、甘やかだが清々しいものだ。
一口飲むと、クリスタルを口に含んだような
硬質感ある口当たり。
にごりと思って甘えているとひっぱたかれるぜ。

純大吟らしいスマートな甘味を感じ、
ピリピリと舌を刺激するような
研ぎ澄まされたキレのある酸とともに
オリ由来の複雑性に富んだ旨味が広がっていくが
想定以上に辛い。

さて、オイラのもぐもぐタイムだ。
地のモノと紗利で飲(や)ろっせ!



越前おろし蕎麦

福井には越前の魚介を筆頭に、
美味いもんがしこたまある。
中でもオイラ大好きなのが、
辛味大根を薬味に使った蕎麦。

普通の大根よりおろしても水分が少なく
めんつゆへの影響が少ないため
薬味として優れた辛味大根。
大根というけど見た目は完全にカブ。
ピリッと辛味強いが、
そば殻まで挽いた越前蕎麦の風味を
上手に引き立ててくれるのさ。



越前ガニ

そして、ぐうの音も出ない越前ガニ。
地方地方にカニは居て、特徴も違うし、
それに伴って食べ方・料理も違うので
優劣つけるのは難しいけど、
間違いなく世界一の美味の一つ。

蕎麦もそうだけど、
こういうのって東京じゃ食えない。
料理には土地の慣習や文化が表現されていて
その国(地方)の風土を感じながら頂く。
これぞ最高の調味料。そして何より水が違う。

すかさず紗利いってごらんよ。
蕎麦と日本酒が合わないって誰が言った?!
新鮮なカニの風味を壊さず包み込む紗利の包容力。

んんーーーさすがは紗利。
寿司ならば味わいを増幅させ、
刺身なら味わいを補ってくれる、
そんなシャリよろしく海の幸に寄り添うが、
(海だけじゃない山野の幸も)
最後はズバッと口の中を洗い流してくれるという
完全無欠の食中酒である。

逆に言えば、そのまま飲むより
食中でこそ真価を発揮できるお酒なんだな。



毛利酒造の前身「但馬屋」(義江家)の名残り。
なので相当古い徳利であるのは確か。「越の桂月」は紗利とは別のライン



現在、紗利は親子で醸している。
長年一緒に働いてこられた杜氏さんが
昨年怪我をされたため
杜氏ができなくなってしまったそうだ。

そんな折、現蔵元である三代目・毛利徹郎さんは
息子の圭佑さんに声を掛けた。

既に保育士として社会に出ていた圭佑さんは
たまに蔵の仕事を手伝うくらいのスタンスだったのだけれど
故郷・東郷の自然に深く根差し
受け継がれてきた酒造りの伝統を絶やしては
ならないと一念発起。家業を継ぐため、
フルタイムで酒造りに励んでいる。

学ぶことばかりだというが、なんの!
酒造りのもの差しでいえば、
新杜氏(製造責任者)は弱冠26歳のひよっこ。
まだまだこれからだ。毛利酒造、前途洋々!
紗利、ネクストステージに突入!



三代目蔵元・毛利 徹郎氏(左)と
次期蔵元・毛利 圭佑氏(右)



最後に。
実は、紗利のモチーフはつばめ。
稲の害虫を食べてくれる益鳥でもあり、
「人の出入りのあるところに営巣をつくる」
という習性から商売繁盛のシンボルなのだそう。
もちろん、佐々木小次郎にも縁あるしね。

まさしく秘剣「つばめ返し」の如き
“別注にごり生”の切れ味。
紗利 第ニ章の幕開けを
ぜひ自分の舌で味わって感じておくれ。
ほしたらばー!



紗利は佐瀬式しぼりで丁寧に搾られている




歴史と豊かな自然に彩られる
美しい水の郷で生まれた「紗利(さり)」。
寿司飯(シャリ)の語源である「SARI」(梵語)から
取られた名前の通り、魚介に寄り添ってくれるお酒です。

越前の新鮮な魚介を楽しむために醸された名脇役は、
一度味わってしまうと手放せない極上の食中酒。
寿司との相性は言うに及ばず、
淡白な身の刺身から、脂の乗ったものまで守備範囲は広い。
かつおのたたきはもちろん、
ポン酢やすだち、カボス、柚子を
用いた和食にも滅法相性がよいので、
海の幸だけに限りません。

そして今回の別注にごり生は
複雑味豊か、鮮烈な味わいで
新しい食中の楽しみを予感させる一本です。

次期蔵元を嘱望される新生杜氏(製造責任者/27歳、取材時は26歳)が醸した
フレッシュなお酒を、
ぜひ色々なお料理と合わせてお楽しみください。

数に限りがあります。
お早目にご注文ください。


将来の活躍を嘱望される若き才能!
毛利 圭佑氏が毛利酒造、
ひいては福井の未来を背負って立つ





日土志が飲んでいるお酒

別注にごり/紗利 五割諸白 純米大吟醸生
 

720ml はこちら 1800ml はこちら

今週のつまみ

<越前ガニ>タグ付きの別格。人生のうち何度味わえるだろうか。



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プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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