「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒

[野生酵母]山形正宗 蔵付酵母仕込 限定純米生

これがクラシック純米!
野生酵母がもたらす原点回帰とは?


名刀正宗もかくや の切れ味。
名にし負う「山形正宗」を表現するに
最良の文句。

日本の天然水は多くが軟水。
硬度約50を平均とする中、
このお酒は硬度約120の硬水で仕込まれる。

奥羽山系のミネラル豊富な伏流水を
仕込み水として醸される酒質は、
後切れが実にシャープ。
銘刀よろしく異彩を放っている。

山形を冠する通り
清酒王国・山形県を代表する
銘醸であるばかりか、

蔵元の水戸部 朝信氏は、
山形4蔵で競作・共作するユニット
『山川光男(やまかわみつお)』(※) の
発起人の一人である。


山形正宗(水戸部酒造)
楯野川(楯の川酒造)
東光(小嶋総本店)
男山(男山酒造)
上記、各銘柄の一文字ずつを
取って名付けられている。

山形のお酒を世間に広めるべく
コンセプチュアルな試みを先導する蔵
水戸部酒造からまた、
オイラの喉元を焦がすお酒が登場した。



[野生酵母]山形正宗 蔵付酵母仕込 限定純米生
(やまがたまさむね くらつきこうぼしこみ)

商品を見る(720ml) 商品を見る(1800ml)   

読んで字の如し。
蔵付きの、酵母で、仕込んだ、酒である。

酵母の話は、
「鳳凰美田 WINE CELL SPARKLING」の回にもした。

お酒の発酵過程においては、まず、
麹菌がお米のデンプンを糖化することから始まる。

酵母はその糖分を糧に、炭酸ガスとアルコールを
生成するっていう重要な役割を担ってるわけだ。

そして酵母の性質が、お酒の味わいや香りのデキに
大きく関わっているという内容だったんだけど。

元々は、単なるお米粒だったのに、お酒になると
どうしてあんなに華やかな香りのするものがあって、
味わいもフルーティ!

って驚くと同時に不思議に思ったむきもあるだろう。
オイラもその一人。
だってご飯はフルーツの味しないし。

これこそ酵母の働きによるもの。
だから現在、当局や蔵人の飽くなき研究によって、
多種多様な清酒酵母が発見・開発されている。





代表的な清酒酵母には7号や9号といった名前が
付いていて、各団体・蔵元が厳重に管理。

蔵人は思い描くお酒を造るにあたって
酵母の選定に自分のビジョンを投影するのだ。

そしてもちろん時流はモダンな酵母で醸すこと。
その方が思い通りに造れるし、第一失敗がない。

で、あるわけだけど、
その対極とも言えるものこそ今日の
「蔵付」酵母なわけで。

つまり、縁あって蔵に住み着いているけど、
名もなく自然界に存在してた「野生」の酵母。
誰も知らない。No body knows 未登録。

どんなお酒になるか検討もつかないじゃん。
冒険しすぎ!
大海原にオール一本で漕ぎ出すようなもんだ。

「でも、やるんだよ!」

マットブラックな瓶からそんな声が聴こえてきた。
日土志、マサムネを迎え撃つんだよ!





昔、清少納言が言ってた。
春はあけぼの。初夏はたけのこ。(嘘)

日本には四季がある。
折々の旬な食べ物を採って有難く頂く。
んで、酒と飲(や)る。
人生において、
これ以上に重要な行事があろうか。ない。

タケノコって漢字で書くと
「竹の子」って表記もあるけど、一文字で「筍」。
竹かんむりに「旬」だよ。
まさに旬の(食べ物の)代名詞じゃん?

今日は山形正宗に負けぬよう
オイラ直々に山へ出向いて掘ってきた、
採れたてのタケノコを料理する。

さて、どう料理したもんか。
めぼしいタケノコの調理法を挙げると……
1.刺身 → 足が早い。採ったその場で食え。
2.煮物 → 目下アク抜き中。まだ食えん。
3.焼き → 簡単だが美味い。

マークシートは消去法。すぐさまついた算段は、
「刀鍛冶よろしく焼きに徹せよ!」




「タケノコ 網焼きホイル包み」

生え始めの小ぶりなタケノコを
アルミホイルでグルグルにして、
ガスコンロで網焼き。これだけ。

割と時間掛かるからガンガン強火でよい。
20分とか。大っきいのは時間倍。
火の管理が不要なのでラクチン。
たまーにひっくり返すだけ。

竹串がスッと通ればオケーで
ホイルを剥いたら香りのパーラダイス♪

和の香菜(シャンツァイ)、
日本のパクチー(?)たる「木の芽」とカツ節散らし、
だし醤油やポン酢で召し上がれ。





まずは蔵付正宗を一献。
すこだま うめぇ(山形弁)。

原点回帰としての純米酒だもん。
ガツンと来る荒々しい男酒を想定してたさ。

でも、アレレ?! 吟醸香は感じないけど、
まろみを帯びた甘い香りに、
パイナップルのようなジューシーさが顔を出す。
こわばっていた身体が一気に弛緩。ニンマリ。

これがモダーンに対する
酵母クラシックスの洗礼か?!

程良く旨みが乗ってて、
柑橘由来を思わせる酸立ちがしっかりあるのに
その酸味が丸っこくて心地良いの。

クラシック=野生=無骨ってわけじゃない。
一筋縄ではいかない深淵なる酵母の世界……。

飲み込み、スッと消える飲後感は見事で、
まさに山形正宗の真骨頂。
看板に嘘偽りなき抜群の切れ味さ。

と思えば、穀物の旨味だけが残響のように
たゆたう。その存在を舌の上に上梓する。
野生の密やかな咆哮だ。

直感。こいつは出汁に合う。
なのでタケノコは白だしにちょい醤油。
アクセントに梅肉を溶いて仕掛ける。

ホコホコの蒸し焼きになったタケノコは
とうもろこしに似た香ばしく甘い香り。

こいつを出汁醤油で頂くと
ジャクジャクした繊維の食感と歯応え、
特有の若々しい苦みが相まって
食べるほどに力がみなぎってくるよう。





大地の息吹。初夏の便り。
やっぱタケノコってサイコーだ!

山形正宗もタケノコもそれぞれ旨いよ。
でもタケノコを山形正宗で追っかけると
まだ先があることに気付かされる。

よりくっきりと伝わるタケノコの旨み、
鮮やかな食感、若芽の爽快感。

そっか、えぐみが消えたんだ。
苦味をタケノコらしさとして勝手に
脳内変換してたけど、アクだったわけだ。

このえぐみを切れ味鋭い銘刀が全て成敗。
シャープに持ち去り、旨味へスマートに変換。
祝・人生初、ワンランク上のタケノコ体験。

あーーーーーーー、
日本に生まれて本当に……良かったっ!
心底思う瞬間。35億分の一。with YM.

今宵も大成功の、
「刀一閃☆ 野生の証明ウマックス!」





お酒に詳しい人なら、
そのお酒が使っている酵母を知れば
ある程度の風味の検討がつく。

実際に飲んでみると、
その想定を良い意味で裏切ってくるお酒も
あるからまた面白いんだけどね。

山形正宗が醸した「蔵付酵母仕込」は
流行に対するアンチテーゼでもあったわけだけど、

この1本を始まりとして、
「野生」酵母が投げかける提起は、業界、
ひいては日本酒を造ることそのものにとっての
新たなテーゼとなり得るかもね。

深読みし過ぎ?!
いんや、それほど示唆に富むし、
味わいに感銘を受けたってことさ。

ほいじゃーね。


山形の切れ味するどい蔵元から
時流へのアンチテーゼとも言うべき一本が登場。

「蔵付酵母」=「野生酵母」による
原点回帰が提示する酵母問題。
モダーンに対するこのクラシック純米が
果たしてどんな味わいなのか、
ぜひご自分の舌で試してください。

お取り扱いは、
「かがた屋酒店」および、
「Online Store かがた夜酒店」限定。

数に限りがあります。
お早目にご注文ください。



日土志が飲んでいるお酒

[野生酵母]山形正宗 蔵付酵母仕込 限定純米生
(やまがたまさむね くらつきこうぼしこみ)

商品を見る(720ml) 商品を見る(1800ml)

今週のつまみ

<タケノコ 網焼きホイル包み>
早朝のタケノコ堀りは格別。焼き以外は煮物と炊き込みご飯でタケノコづくし♪


関東近郊の竹林と
ヤオヤプラス 西小山店

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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