「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.56

澤屋まつもと 守破離 ID 720ml

これぞ日本酒のアイデンティティ!
田んぼ別で醸す究極のテロワール



ア、アイディー!?


ID(アイディ)とは
「identification」の略語。
個体識別とか身分証明って意味だ。
(先頭2文字で略語って……)

インターネット上でも、
何かしら入会する際には必ず
ユーザIDが必要になるから皆んなも持っているよね。
ちなみにオイラがいつも使うユーザIDは
「スーパーヒ〇シくん」……ではない。

さて、
住民基本台帳から国民総背番号制度、
「マイナンバー」への移行が
(国民の総意かどうかは知らないが)
至極順調に進む中で改めて問い直したい。
おのれのアイデンティティは確立したか? と。

はははは。
オイラのアイデンちゃんは
転がる小石みたいなもんさ。
なんつて格好つけました失敬。
↓真のIDとはこれを指す↓



[ID:39-1]澤屋まつもと 守破離 ID 720ml            [ID:1314-1]澤屋まつもと 守破離 ID 720ml

【 ID:39-1 】 【 ID:1314-1 】   

お酒に「ID」ってどゆこと?!
よく見ると肩ラベルに何やら数字が
書かれているわけですが、
片方には「1314-1」、
もう一方には「39-1」。

この数字は何か、
これは番地だ。
何の番地か、
ズバリ! 田んぼだ。

なんとこのお酒は、
収穫された原料米の田んぼ別に醸された
日本酒なのである。





「ウソでしょ?!」

嘘じゃないんです。
山田錦のグラン・クリュ、
「特A地区」に指定される兵庫県加東市の
岡本という土地の田んぼで育てられたお米100%、
なんだけど、
どちらも単一区画の田んぼのお米のみを使用。




↑ほらね、地図(航空写真)を見るとよく分かる。
「1314-1」番地が見つかるかしら。

おっもしろいよねー、
それにすんごいこだわり。

それもそのはず、
“日本酒の本当の価値は米の産地にある”
という
杜氏・松本日出彦さんの考え方が反映されているから。

日本酒を選ぶ上で、
「どこでどのように育った米で醸した日本酒なのか」
そういった視点が育まれていって欲しいという
松本さんの願いが込められている。

時代の寵児になる人はやはり違う
考え方が一歩も二歩も進んでいるな。

そうか、お洒落で素敵なラベルと
思っていたけど描かれているのは田んぼじゃん!
ノスタルジックに幻想的で
宮沢賢治の描く世界のよう。




↑松本日出彦杜氏とまつもとID。
背景は実際に醸したお酒の原料米を
収穫した田んぼだ(写真は39-1番地)。

松本さんはお酒ができ上がると
真っ先にお米農家さんのところへ
1軒1軒訪問し手渡すのだそう。

当地は「特A地区」として
日本酒業界の中では燦然と輝く土地柄ではあるけれど、
他地域の例に漏れず生産者の高齢化や
後継者がいないという問題を抱えてもいる。

できたお酒を手渡すのは、
第一に松本さんの産地に対する心映えであるけれど、
カタチになったものを見ていただくことで
産地の担い手に、
より深く自分たちの価値を見出してもらおうというわけだ。

そうさ、
IDは田んぼを識別するIDであり、
田んぼこそ日本酒のアイデンティティといえるわけだけど、
翻って、
醸す酒蔵の、そして米をつくる生産者の
アイデンティティでもあるのだ。




田んぼの次は酒蔵(がある町)に瞬間移動!
松本酒造は京都・伏見の高瀬川沿いに佇む
1791年(寛政3年)創業の老舗蔵。

上の写真でもお分かりの通り、
水どころである。

辛口でキレがよく「男酒」と呼ばれた灘に対し、
伏見はなめらかでキメ細かい「女酒」と親しまれてきたわけだが、
古来より屈指の酒質の高さを評価されてきたのは
仕込む水によるところが大きい。

かつては「伏水」とも書かれていたほど
良質で豊富な地下水に恵まれた伏見を象徴するのが
「御香宮(ごこうのみや)」の
「御香水(ごこうすい)」である。




「御香宮神社」
(ごこうのみやじんじゃ)

この神社の由緒は平安時代まで遡る。
862年(貞観2年)9月9日、
境内より良い香りの水が湧き出し、
その水を飲むと病が治ったので、時の清和天皇より
「御香宮」の名を賜ったことにある。

この麗しき湧き水は「御香水」と呼ばれ
名水百選にも選定されているほどだ。




↑現在も枯れることなく湧き続ける「御香水」。
地元住民から愛され、維持管理もしっかり。
歴史を感じる佇まいにオイラの感慨もひとしお。

御香水に限らず、伏見には他に六つも名水があり、
「伏見の七つ井」と呼ばれているほど水豊かな土地なのだ。

酒造りには欠かせない良質な水、
それ以前に「水」は人間の根本。
田んぼのIDに、水のID、
素晴らしい出会いがここにはある。




最後に松本酒造へ。
1922年築の本社酒造場は経済産業省から
近代化産業遺産の認定を受けている。
古いんだけど美しい建物。
ここには蔵人たちが
酒と格闘してきた歴史が詰まっている。

そんな歴史ある仕事場で働く
男闘己・松本日出彦杜氏の背中には、
蔵人のアイデンティティというものを
否が応でも感じざるを得ない。
「女酒」という言葉の印象とは程遠いよね。

田んぼのID、水のID、酒蔵のID、
人間(蔵人)のID、
全てのIDが揃い完成する酒の極致。
日本酒の存在証明。

おっと最後に大事なピースを忘れていた。
飲み手のIDをね。
是非とも「ID(田んぼ)」違いで飲み比べて
自分の五感でもってしっかり体感し、
守破離IDという名の作品を完成させておくれ。

ほいじゃーね!





“日本酒の本当の価値は米の産地にある”
という
松本日出彦杜氏の思いから生まれた
前代未聞の日本酒「ID」。

「identification」の略語である
ID(アイディ)は、
本来は個体識別や身分証明という意味の言葉ですが、
ここでいうIDは田んぼの番地を指します。

ワインが畑ごとに造られるように
収穫した産地のお米をひとまとめにせず、
田んぼ別に分けて醸すという
究極のテロワールを表現したお酒です。

IDは
「1314-1」と「39-1」
ぜひ飲み比べて
田んぼの力を体感してください。

お取り扱いは、「かがた屋酒店」および、
「Online Store かがた夜酒店」にて。
お早目にご注文ください。




日土志が飲んでいるお酒

澤屋まつもと 守破離 ID 720ml
(さわやまつもとしゅはりアイディ)

【 ID:39-1 】 【 ID:1314-1 】

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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