「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.60

新酒/無想 厳雪 直汲み純米吟醸生原酒 1800ml

厳雪さらなる高みへ! 新潟新スタイルを標榜する「無想」平田州杜氏独占インタヴュー!


2018年01月30日 記


さ、さみーーーーー!!


記録的な寒波が襲い、
東京でも4年振りの大雪に見舞われた今冬。

東京でこれじゃあ、北国、
特に豪雪地帯で有名な新潟あたりは
もっと大変なことになっとるだろう。
「厳」しい「雪」が降り積もってよ。

はい、というわけで「無想 厳雪」再登場の巻ね。

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昨年、かがた屋酒店で販売が開始されると
淡麗辛口を身上とする新潟酒の文脈とは
一線を画す新しい日本酒のスタイルで鮮烈デビュー☆彡
瞬く間に人気酒となった「無想」。

今回は、オイラが昨年、
新潮流ニイガタとして唸った無想の新酒
「厳雪(げんせつ)」がリリースされたということで、
醸造元・大洋酒造さんから「無想」の醸造責任者である
平田 州(ひらたしゅう)杜氏にたっぷり話を伺ったぞ。

名門・東海大学柔道部出身の柔道家でもある
男闘己(オトコ)平田杜氏の造る無想とは一体どんな酒か、
飲んだことある人もない人も
どなた様もドンミスイット!



新酒/無想 厳雪 直汲み純米吟醸生原酒 1800ml
(むそう げんせつ)


商品はこちら   

日土志:
さすが雪どころ新潟、かなり吹雪いてますねぇ。
平田さん雪に埋もれちゃってますが大丈夫ですか?

平田杜氏:
うちは沿岸部なので山間部ほど積もりませんが、
ずっとマイナスの日が続いてるので
パウダースノーなんです。だから大丈夫ですよ。

日土志:
どう大丈夫なのかよく分からないので
早速本題に入ります。
今年で「無想」は何年目になりますか?

平田杜氏:
……。
はい、おかげさまで3年目を迎えました。
1年目は試験醸造で1店舗のみの販売、
そちらで少しの自信を得て、
2年目にもう少し大きく展開させていただきました。
そして今年は自分たちのスタイルを
より深く追求した年になります。

日土志:
というと?

平田杜氏:
我々は、今までの、いわゆる新潟のお酒
としてイメージされる淡麗辛口とはちょっと違う形の、
新しいスタイルの淡麗辛口を提案できたらなと思ってきました。

とは言え、新潟らしさ、
この土地から生まれたという個性は
やっぱり大事にしていきたい。
つまり、新潟らしくない新潟らしいものを造りたいというわけです。

日土志:
難しいですね笑
でも、オイラ昨年(2年目)も
「新潮流の新潟酒」、「新型の新潟」
という風に感じて
素晴らしいと思いましたが、
具体的には昨年とどう違うのですか?
あ、ラベルも新しくなってますね。
カッコイイです!




平田杜氏:
ありがとうございます。
今年はまず、キレを良くしたいという思いから、
57%だった磨きを2%と少しですが、
55%まで引き上げました。
実は私が「55」という数字が好きで、
イケイケゴーゴー! というわけです笑

日土志:
え?!

平田杜氏:
……。
日本酒度も昨年の「-9」から
今年は「+2」と辛口側に転じていますし、
昨年よりピリピリとガス感も強めです。

日土志:
なるほど。
ではアルコール度数はいかがですか。
低アルコールであることが、
新しい“淡さ”を表現する上で
大きな要素となっていたように思いますが。

平田杜氏:
もちろん今年も低アルコールの原酒です。
アルコール分は15%と表記してありますが、
それは14.1%〜15.9%までカバーできるからです。
実際は14%台を保っていますよ。

日土志:
おお、低アルですね。でも、酵母が糖分を食べて、
炭酸ガスとアルコールを出すことを考えると、
糖分が消費されないのに辛口というのは
なんだか矛盾しているようにも聞こえます。
どのような造りなのか少し教えていただけますか。




平田杜氏:
麹の働きを促進し蒸米の糖化に重きを置く前半も
酵母によるアルコール発酵を推し進める後半も
低温を保ち、通常よりゆっくりと醸していきます。
そのため醪期間は28〜30日と長めです。
一日たりとも気を抜けず、
毎日醪の味をチェックしながら
何とか着地したといった感じです。

日土志:
くわぁ、管理が大変そうです。
普通だったら、発酵が進んで
高アルコールのお酒になってしまいますよね。

平田杜氏:
温度管理もそうですが、仕込み配合も特殊です。
最終的に、醪を搾った後の粕歩合(かすぶあい)が
非常に多い造りになりました。
ちょうど同じ時期に鑑評会出品用の大吟醸酒も
搾ったところだったんですが、粕歩合はほぼ同じ。

蔵人たちも口々に
「どっちが高級酒か分かんないね」って
話していましたね笑

日土志:
えぇえぇ〜〜、それはすごい贅沢!
オイラも聞いたことがないです。




平田杜氏:
僕らがここまで手間や原価をかけるのは、
日本酒を飲むきっかけになるお酒を造りたいと
思っているからなんです。

ビールやサワー、ワイン、焼酎などの
酒類消費量の中で、清酒が占める比率は
大手を含めても6%程度。
こういった現状を踏まえての勝負になります。

杜氏になる前の10年間、営業部にいたことも
大きく影響していますが、まずはゼロからイチへ、
日本酒をこれまで飲まれなかった人に
一度でいいから口にしてもらいたい。

これまで色んなタイプのお酒を試行錯誤し
飲み手の皆さんに提案されている蔵元を見てきました。

そんな中で、じゃあ、杜氏になった自分には
何ができるだろう、何をすべきだろうかと
突き詰めてみた時、自分はやっぱり、
日本酒ビギナーと呼ばれるような人たちに
訴えかけられるお酒を造りたいというのが答えでした。
間口を広げることで日本酒の奥深さを知るきっかけになってもらえたら本望です。

また、アルコール度数にこだわるのは
飲みやすさもありますが、ワインを見据えてのこと。
ワインはアルコール度数の強弱によって
味わいの違いを表現できていると感じます。

ワインがそうであるように、
食中での楽しみの一助になるお酒でありたいし、
無想を飲んだことで、
「次は別なの飲んでみようかな」って
選択肢を広げる役目を担えれば嬉しいです。

日土志:
思いを大いに語っていただきました。
それでは、この「無想 厳雪」は
どんな飲み方がおすすめですか?




平田杜氏:
開けたては酸が固いと思います。
春を待ち、雪の下でじっと寒さに耐える
ふきのとうのように忍んでいます。
それこそ、
ふきのとうのようなビターさもありますが、
炭酸が絡むおかげで飲みやすく、
シャープな辛口を実感します。

ただ、この一杯目だけで全てを
判断して欲しくないという思いもあります。
一升瓶をゆっくりと時間を置き
何日もかけて飲んでもらいたい。
そのために「厳雪」に関しては
敢えて720mlのボトルを出しませんでした。

ガスが抜けていく中で、
徐々に甘味がのり、酸と渾然一体となって
別な顔を出し芽吹いていく、
そうなるよう設計してあります。

食中に楽しめるお酒ですが、
素材の味を楽しむ料理、やっぱり和食に合います。
これも新潟という郷土色豊かな土地柄に
関係するのかも知れません。

日土志:
へぇーー、
ガスが抜けちゃってもいいんですか!
味わいの変化、オイラも楽しみ。
まずは和食で飲(や)ってみます。




日土志:
最後に、酒飲みの皆さんへ
(まだ酒飲みじゃない人にも)
メッセージをお願いします。

平田杜氏:
ブランド2年目に展開を広げられたことで、
皆様から様々な評価をいただくようになりました。

それからというもの、
各現場の意識が劇的に高まり、
色んな意見が出るようになりました。

今年は本当にチーム一丸となって
やってこれたと実感しています。
またそれが無想ブランドの味につながっているかと……。

やっとリリースできたばかりで
どのような評価をいただくか
あまり眠れない夜が続いておりますが、
ぜひ今年の「厳雪」ご賞味ください。
ありがとうございました。

平田さん、
ありがとうございました!





では、早速、和食で飲むぞ!
ってことで、大洋酒造のある新潟県村上特産の珍味
「鮭の酒びたし」をお土産に買ってきた。

「酒(さか)びたし」っていうからには、
鮭をお酒に浸して作ったものと思ったらそうではない。
酒とツマミとで二倍酔えるかと思ったのに……

「騙された−ーー!」




こいつは鮭の発酵食品である。
塩引き鮭を天井に秋から冬にかけて吊るして完成。
いや、まだまだ!
迎えて春、梅雨から夏の暑さを越え、秋雨を経て
天高く馬肥える秋晴れを待って完成。
つまり一年間も熟成させて出来上がる
貴重で贅沢な発酵食品なわけだ。

なんでも、村上は鮭料理が百種類もあるほど
鮭と縁深く、平安時代には「鮭の酒びたし」の原型が
税金の代わりに納められていたという。
1000年も地元で愛され続けてるって
よっぽど旨いってことよね?
OK! いただきましょう。




まずは無想 厳雪を一献。
開栓すると「プショッ!」って陽気な挨拶。
確かにガスっ気強いっス。

杯に注いで嗅ぐと、果実感のある香りだが、
しんと張り詰める厳冬の朝のように厳かで穏やか。
クセがなくて誰もが踏み込みやすいよね。

口に含むと、水のように淡くスーッと入ってきて
固めの酸とともに舌の上にピリピリが立って辛口。
それから仄かな甘味を奥のほうで感じてくるが、
まるで雪景色の中、小川のせせらぎを
その流れこそ見えないけど遠くに聴こえている感じ。
雪の下で密かに芽吹く、ふきのとうのほろ苦さも後から来る。
そーんな風景っ!

さて、数日してどう味わいが変化していくか見ものだが
今日は「鮭の酒びたし」で腕試し。




そのまま食べるとしっとり食感。
ナニコレ超旨い!
ちょっとだけ炙るとまた格別。

こんなに美味しい加工食品あるかね?!
ビーフジャーキーより格段上。
そして実は、
自分で酒に浸して食べるから
「酒びたし」なんだよね。
あとは生姜の千切りを添えてと……完成!

こいつと無想でやってみ。
なんせ地のモノ同士。
合うの合わねーの、合う!
天井の鮭、じゃないや、
天上の筝曲を聴いてるみたいや!

おっとすまん、飲みが興に乗りすぎ、
ちょっと酔っぱらってきたみたいだから、
もう締めと行きましょう平田さん。




「飲んだあとの〆はラーメンだよね。
だけど、餃子も忘れずに。
だって、柔道頑張り過ぎて耳が餃子ウマックス!」


無想をしこたま飲んだ後は、 男闘己・平田とラーメン餃子で締めてお開きです。
(家系スープを飲み干す胃ぢからに降参!)

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平田杜氏は、無想を造るにあたって、
入門編のお酒でありたいと語ってくれた。
言や良し。潔きことこの上ないもの。

しかし、翻ってその「一見初心者向け日本酒」は、
酒飲みのオイラたちにとって
散々溺れちまう度MAXの至極の酒だったわけだ。
ぬぬぬぬ、男闘己・平田恐るべし!

ほしたらばー!




3年目に突入した
新潟淡麗の新潮流「無想」。

その新スタイルに
さらに磨きをかけ、ラベルも一新、
無想ブランドのブラックラベル
「厳雪」がついにリリースされました。

日本酒ビギナーはもとより
玄人まで唸らせる
今までにない淡麗な飲み口、
新しい辛口のカタチ、
新型新潟、新潟新型。

春を待つ動植物のように
ゆっくりと味が開いていきます。
ガス感の強い開けたてから
抜けていくまでのさまも
お楽しみください。

数に限りがあります。
お早目にご注文ください。




日土志が飲んでいるお酒

新酒/無想 厳雪 直汲み純米吟醸生原酒 1800ml(むそうげんせつ)

商品はこちら

今週のつまみ

<鮭の酒びたし>お皿に適当に並べて生姜の千切りをちょっと乗せ、酒3:みりん1の割合のお酒で浸すのが作法。



千年鮭 きっかわ/新潟県村上市
 

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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