「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.67

14年熟成/満寿泉 全麹 平成15年度醸造 720ml

衝撃のフルコンボ!
仕込みの極み×長熟の贅沢酒にノックアウト



善光寺!

全国的にも有名な長野市のお寺さん。
4月から5月にかけて行われる、数え年で7年に一度の御開帳
(秘仏である御本尊「一光三尊阿弥陀如来像」の写し見、
「前立本尊」を公開)には多くの参拝者が訪れる。
(2015年時は707万人! が参詣)

そんな霊験あらたかな当寺院だが、
「善光寺詣り」といえば、あのお土産。
名物・八幡屋礒五郎の七味唐辛子ね。
美味いんだけど、何故かアチコチお祭りの屋台でも
売っているので有り難みも薄れるというもの。

というわけで今週は長野の善光寺から
お送りします……
……なんつて嘘!
ゼンコージ違い!

なるほど……、では「全(員)コージ」
コージさんオールスターズのほうね。
芸人・今田耕司、東野幸治、仲本工事、
ビーマイベイベー・吉川晃司、
サルまん・相原コージに
ミスター赤ヘル、我が心の山本浩二。

残念! これもアウツ。
2アウトフルカウンツにつきラストスイングカモンッ!

「善光寺」でも「全コージ」でも
「コージ・オールスターズ」でもねえ「全麹」だ!

日土志「なにそれーーー?!」
主審「ストライーーーック! バッターアウトぉー!」



14年熟成/満寿泉 全麹 平成15年度醸造 720ml


商品はこちら   

見事に打ち取られました。残念……。
ま・いいや、ロ・メイシ、
それより「全麹」ってどゆこと?!
焼酎では聞いたことあるけど。
ってことで「全麹」とは何なのか、
一緒に学んでいきまっしょい!

まずは日本酒の原料についておさらい。
瓶のラベルをよーく見ろ。

よく見ても見なくても
「原材料名:米、米麹」と書かれている。
たったそれだけー。
醸造アルコールが書かれてないから
これは純米酒系だな。

それに、モチのロンで水は大量に使うけど、
原材料名には書かなくていいんだよねー。




原材料の一つ目は「米」。これってつまり蒸米だな。
二つ目「米麹」というのは、
蒸米に麹菌というカビの一種を生やしたもので、
要は「麹」のこと。

昔から「一麹、二酛(酒母)、三造り(醪)」
って言葉があるけれど、
酒造りに一番重要とされる部分だな。ウン。
(ちなみに麹を造る工程を製麹[セイキク]という)

なぜ重要か。
麹の持つ酵素の力で蒸米のでんぷんを
ブドウ糖などに分解するんだけれど、
糖分ができないとアルコールをつくる酵母くんが
ちゃんと働かない。糖分がご飯なもんでね。

だから麹造りは重要ってことになるんだけれど、
蒸米を糖化できればいいので
普通、麹用に使われる蒸米(麹米)は使用米全体の2割ほど。

こうして、丁寧に製麹した少量の「麹」でもって
残り8割の蒸米(掛米)を糖化させるよう仕込む。
(通常は麹、蒸米、水を3回に分けて
タンクに投入し仕込む「三段仕込み」)




と、お分かりいただけましたでしょーか。

つまり「全麹」とは、
仕込み用のタンクに投入すれば問題ない80%程の
蒸米(掛米)さえ、わざわざ全て製麹し、
麹にしてから仕込むという、
べらぼうに途轍もなく途方に暮れるほど
呆れた贅沢なやり方。
一体どれほどの時間と手間が掛かることか。
まさに仕込みの極み!

さらに今回飲む「満寿泉 全麹」は「15BY」。
平成15(2003)年醸造だから、
14,15年熟成とキテる。
もはや日本酒のフルコンボ、
将棋で言えば「詰み」やね。手ぇ震える。

さて、このようなハイスペックの
オール・コージさんをお迎えするにあたり、
見合うお方(ツマミ)を探すのに大変苦労いたしましたよ。



ゴルゴンゾーラチーズはちみつがけ

世界三大ブルーチーズの一角にして
最もポピュラーなブルーチーズ From イタ〜リア。

何がポピュラーって、
ほかの二つはフランスの「ロックフォール」と
イギリスの「スティルトン」。
サラッと言える人そうはいないんじゃない?!

ゴルゴンゾーラチーズは
青カビチーズの中では比較的風味穏やかで
味わいマイルドなため、料理にも使い勝手良く
最もポピュラーになったものと考えられる。
とはいえ、日本で買うと安くない嗜好品。
コージと相対するに十分な貫禄、歴史もあり。

そういえば、実は先週もチーズ&蜂蜜。
白カビチーズのカマンベールだったので
タイプこそ違えどほぼ一緒。
手抜きと思われても仕方ないが、
だって今日のお酒に合うと思ったんだから
しょーがあんめ。




お先に一献(失礼します♪)。

胸をすくようないい香り。
熟成由来のナッツやパンを思わせる香ばしさ。
バニラのアロマ。

貴醸酒や貴腐ワインのような上品な甘さ。
だけど、スッとしてもっと控えめ。
いやらしさのないステルスな低空飛行が続く
長い余韻にほだされる。

しっかり輪郭のある酸とカカオなビター、
蒸留酒のような風味が後味を引き締め、
ミネラル分を含んだ水が骨太な芯を感じさせる。
うううぅぅぅーーまいっ!




一体全体これは何というタイプのお酒なんだ?!
長期ながら嫌味のない熟成感。
甘いのに調和のとれた味わい。
かつて飲んだことがないぞ。
淡く美しい琥珀色は、黄昏の液体とでも呼ぼうか。

日本酒というより、シェリー酒とか、
フランスが誇る高級ブランデー
「コニャック」の代名詞といわれる
「レミーマルタン(REMY MARTIN)」のようだ。

でもブランデーより圧倒的に軽やかソフト。
キリング・ミー・ソフトリー!
こいつはそのままで美味い。
食前食後酒としても絶好やんっ!

あ、そういえばフランス人てば
メインディッシュの後、
デザートの一つとしてチーズ食べるんだっけ。
カルヴァドスやシェリー、ポートワインとかと
いただいて、食後を締めくくるんだよな。

そういうわけで、オイラも
しこたまコース料理を食べた後って設定ね。
はい、それではチーズといただきます!




マーブル状に美しい“さし”の入った
ゴルゴンゾーラチーズはクリーミーで
割と塩分も控えめ食べやすい。

そこに蜂蜜がかかると甘辛融合のクセになる味わい爆発。
でもチーズだけで食べるよりマイルドになって食べやすいの。

ひと口「全麹」飲んだ後に食べると、
「全麹」の長〜い余韻に引っ張られて
えげつないマリアージュ・エクスプロージョン!
「アイヤー、典雅〜、優雅〜」
(フランス語と英語と中国語がごっちゃだ)

今宵は……「フランス料理のフルコースを
フルコージ、オールコージで締めくくる
至極のバーチャルトリップに
貴方をいざないまウマックス!」


(食後のアンサンブルは永遠に続く……)




最後に。
購入したときにあれれ?! と思う方も
いるだろうから先に言っておく。

このお酒、液体の中にもやっとした浮遊物が漂っている。
そそ、まっくろくろすけみたいなやつね。

こいつはお酒の成分であるタンパク質の凝固したもの、
もしくは、アミノ酸と糖分が結合した化合物。

なので品質に異常があるわけでも何でもない。
長い熟成期間の過程で生まれたもので
飲んでも体に害はないのでご心配なく。
(いい温泉にも湯の花ってあるよな)

むしろ長い時間を経たホンモノでなければ
めったにお目にかかれないシロモノさ。
実に有り難い。




ちなみに「善光寺」っていう名前のそば焼酎もあるが、
これは全麹ではない。
そりゃそうだ。第一、「満寿泉」は
長野のお隣さん、富山県なのでお間違いなく……。

あとそうそう、
原材料の全部100% を麹にしてしまうと、
酒税法上「清酒」に分類表記できないので、
ほんの少しだけ蒸米を入れているらしい。
へんなの。法律ってチグハグな面もあるよな。
ま、これも一興。
ほしたらばー!




「全麹」という離れ業……。
通常、2(麹)対8(掛米)のところ、
全部を「麹」にするという「全麹」仕込み。

想像を超える手間と時間を掛けて醸された
大変に贅沢なお酒を
さらに15年程熟成させた逸品がお値打ち価格で登場。
この造りと熟成では普通あり得ません。
恐るべし「満寿泉」。

甘味が強いですが、
貴醸酒の甘さより奥ゆかしく、
また、シェリーやカルヴァドス、
ブランデーにも似た風味をまとい、
えもいわれぬ気品をもたらしています。

食前食後に限らず、食中酒としても
オールマイティに楽しめる唯一無二のお酒、
オールコージ/全麹をお楽しみください。

数に限りがあります。
お早目にご注文ください。


P.S.
欲を言えば、15年熟成といわず、
購入してさらに5年、10年と寝かせたらどうなるか……。
ぜひ試してみたいものです。





日土志が飲んでいるお酒

14年熟成/満寿泉 全麹 平成15年度醸造
720ml

商品はこちら

今週のつまみ

<ゴルゴンゾーラチーズはちみつがけ>チーズと食後酒の後、フランスのディナーはデザートで締める。いや、もうお腹いっぱい汗。



東急ストア 不動前店/プレッセ目黒店と
成城石井 アトレ目黒2

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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