「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.79

夏酒/波乗り車坂 山廃仕込み生原酒

カチ割りロック & 夏燗ブルース。
ヘイ・ユウ 山廃の波に呑まれちゃいなよ!



この地球にはかつて、
「陸 (おか)サーファー」
(学名:Homo Surferens Okaentos,1978)
と呼ばれる部族が存在した。

絶滅のおそれがあることから
現在、環境省レッドリストに、
絶滅危惧I類(絶滅の危機に瀕している種)
として(嘘になるが)分類されている。

そうなる以前、オカサーフ王朝後期、
彼らのカリスマである
キ・ムターク王
栄華を誇った一時代、従者である彼らもまた、
幾何級数的にクランの数と規模の増大を繰り返し、
大いなる繁栄を得ていた。

殊に2つの聖典
『長期休暇(ロンバケ)
および
『恋☆世代(ラブジェネ)
魂の拠り所とされ、
生活規範全般にまで影響が及んでいたと推察される。

例えば、長髪を意味する「ローンゲ」、
「チャッパツ(髪を茶色に染めること)」、
それに、わざとでん部が見えるように
ズボンをはく「コシバキー」等、
聖典に信仰を求めたことや、
伝播・派生の過程で、
こうした独特の風習を形成するに至った。

そして、最も特筆すべき点は、
これらの風習が実のところ
他部族のモノマネであった、ということに尽きる。

その元となる部族こそ「サーファー」であり、
「陸サーファー」たちに神と崇められた
キ・ムターク王のルーツもまた「サーファー」にあった。

両部族間に存在する違い……それは、
“波に乗るのか、
乗らないのか”
という一点のみだが、ここに決定的な差が生じるのである。
そう、この酒が他の酒と違うように。



夏酒/波乗り車坂 山廃仕込み生原酒

720ml はこちら 1800ml はこちら   

ちょ、待てよ!
波、
乗っちゃってますけどぉー♪


写真の人物は、
『今週の晩酌』初めてご登場の銘酒『車坂』、
醸す蔵元・吉村秀雄商店の
「藤田 晶子」杜氏その人である。

言わずもがな、
彼女は能登杜氏四天王の一人として
名声をほしいままにした農口杜氏のもとで
みっちり10年間修業した本格派。

氏の愛弟子として全国に名を馳せるが、
修業後始めて杜氏に就任したのが
何を隠そうこの吉村秀雄商店であった。

そして何と今回、お馴染みバカボン七段
(かがた屋酒店スタッフぅー)の
特別計らいにより、藤田杜氏への
電撃電話インタビューが実現したので、
その内容を興奮とともにお伝えします。
早速どうぞ!




日土志:
初めまして、
バカボン七段さんにご紹介いただきました
わたくし水取日土志と申します。
今日はよろしくお願いします。

藤田杜氏:
いつもお世話になっております。
こちらこそどうぞよろしくお願いします。

日土志:
藤田さんの杜氏としてのキャリアは、
現在所属されている吉村秀雄商店さんが
スタートとなられるそうですが、
何か選ばれた理由があるのでしょうか。

藤田杜氏:
当時、蔵元の安村が、
山廃で仕込める杜氏を探していまして、
私の希望する方向性に合うと思ったので、
お世話になろうと決めました。

日土志:
初めての杜氏という責務は
さぞ重かったろうと想像します。

藤田杜氏:
はい。最初は不安だらけでした。
ただ、うちは山廃に限らず
もちろん速醸でも醸しますが、
山廃の造りが面白いというか、興味深いので
どんどんのめり込んでいった気がします。

日土志:
と言うと?




藤田杜氏:
麹造りもそうですが、
生もと系の造りである生もとと山廃は、
環境を整えてあげると乳酸菌が上手く生えてくるんです。
そうした微生物の反応の面白さがあって、
それが味に直接関わるという醍醐味があります。

伝統的な造りなので、
考え方や手法はとてもシンプルなものですが、
そこに根差しているのは、
これまで積み上げてきた先人たちへのリスペクトです。
こういったこと全てが、
蔵のスタイルに合っているなと感じます。

日土志:
なんだか運命的なものを感じますね。



豚しゃぶと冷菜の梅土佐和え

藤田杜氏:
はい。
それに、山廃や生もとは飲んでいて幅があります。
味わいもそうですし、合わせる料理の幅も広い。
私は和食以外に
イタリアンや中華を食べるときでも
「やっぱここは山廃でしょ」って
思うことが多いので、
食事に合わせるお酒の選択肢のひとつに
考えてもらえたら嬉しいです。

実は、海外の展示会などに出品すると
本場のソムリエなどに必ずと言っていいほど
好まれるのが山廃仕込みのお酒です。
日本酒に対する先入観がないからこそ、
山廃の良さに気づいてもらえる、
そうした新たな光を見出すこともできました。

これからも、もっと色々な人に
山廃造りのお酒を知って欲しいですし、
食・味覚の世界を広げるワンアイテムとして
気軽に捉えてもらえればと思います。




日土志:
確かに山廃のお酒って、懐が広いですよね。
その山廃の中だけでも様々な味わいがありますし。

では、そうしたことも踏まえて
今回の「波乗り車坂」の特徴を
教えていただこうと思います。
「波乗り車坂」は本醸造なんですね。
夏酒を敢えてそうした理由は何ですか。

藤田杜氏:
はい。本醸造の良さを引き出し、
波に乗ってやろうと思いました。
酔いの波に乗ることなら、
うちの蔵人はプロ級ですから笑

それにこれから夏に向かって
バーベキューや焼き肉といった
味の濃い料理を食べる機会も多いと
思いますので、そういった料理にも
合う味わいに設計しています。

また、純米系以外にはそもそも気が向かない
という方もいらっしゃいますが、
アル添(醸造アルコールの添加)の歴史が
あることも含めて日本酒を表現していきたいと
思っています。

日土志:
江戸時代には既に行われていたという
柱焼酎(粕取り焼酎)の添加のことですね。
大昔はそうすることで酒質が安定したと聞きます。
実を言うとオイラも本醸造大好き人間。
一番好きかも知れない笑




日土志:
どんどん質問参ります。
こちらは生酒ですが、搾りたてですか?

藤田杜氏:
少し寝かせてあります。
搾りたてはまだ若いなと感じたので、
3月下旬に搾ったものを生のままタンクに貯蔵しました。
常温で生熟させていますが、
生老ね(なまひね)してないと思います。
山廃は生老ねしにくいんです。

日土志:
うーん。驚きです。
確かに老香(ひねか)は一切ありませんでした。
シンプル(を突き詰めた造り)
だからこその強さですね。

では、おすすめの飲み方を教えてください。

藤田杜氏:
「波乗り車坂」は、
“波に乗っているかのように
気持ち良く酔って欲しい”

というコンセプトから名付けました。

なのでそのまま飲んでもいいですが、
氷を浮かべてロックでゆるく飲んでもいい。
好みの温度・濃さで飲んでいただければと。

加水して商品化する案もあったのですが、
アルコール19度以上の原酒で出したのは
そうした意図によるものです。

飲んでいるうち、ビールに疲れてきたら
少し割水してお燗するのもありです。
面倒くさければレンジでチンでも
いいんじゃないでしょうか。




日土志:
なるほど。確かにロックにして
氷を溶かしながら飲むとメチャクチャ旨いですね。

藤田杜氏:
ありがとうございます。

日土志:
飲みやすくなるのに、
味が薄まる感じがないのが凄い!
でも、お燗にするとき水を加えるのは何故ですか?

藤田杜氏:
アルコール度数が高いので、
割水しないとすごく酔いますよ笑

日土志:
な、なるほどー……納得。
加える水の量の目安ってありますか。

藤田杜氏:
あまり薄め過ぎてもつまらないので
100mlのお酒に小さじ2杯(10ml)くらいの水を
足すとちょうどいいかなと思います。

日土志:
そうなんですね、分かりました。
では、最後に読者にひと言お願いします。

藤田杜氏:
一杯目、二杯目に何か飲まれた後に、
三杯目は「波乗り車坂」をロックで、
お燗で、と波に乗って漂うように
自由に楽しんでもらえたら有り難いですね。


藤田さん、ありがとうございました!




インタヴュー後、
氷を入れてロックで飲むのは分かるけど、
夏にお燗?! って、
半信半疑に思いつつも試してみた。
よりにもよって、今年、
東京で初の真夏日となった日の夜にさ。

それまでロックで数杯楽しんだ後、
「波乗り車坂」に割水してレンジで70秒。
いやーいい感じに
ほっとひと息つけるんだわこれが。
華やかなアロマに包まれ、
優しき味わいに癒される……。

そのままで、ロックで、燗でと
一本で散々楽しめる「波乗り」に病みつきー。
もう酔ってるな、オイラ。
酔ってるついでに言わせてもらうぜ。

「波乗り」飲んで、
陸サーファー王に
おれはなる!!!!

(勝手にどうぞ)

ほしたらばー!




“ヘイ・ユウ
山廃の波に呑まれちゃいないよ!”

農口杜氏の愛弟子、
山廃の女神・藤田 晶子杜氏による
快(怪?)作「波乗り車坂」。

夏らしく南国フルーツやバナナといった
果実様のリッチな香りとぶっとい味わいが
スタミナ系キュイジーヌにドンピシャ。
生原好きはそのままで!
火照った身体に波乗りアイスロック(氷)で!
泳いで(冷房で)冷えた身体に加水熱々燗で!

この波、並じゃあない……。

アルコール度数19度以上の
極太の酒がうねりを上げ、
日本の夏に
20m級のビッグウェーブを巻き起こす。
呑まれても、酔いの波に乗り遅れんなよ!

数に限りがあります。
お早目にご注文ください。





日土志が飲んでいるお酒

夏酒/波乗り車坂 山廃仕込み生原酒
 

720ml はこちら 1800ml はこちら

今週のつまみ

<豚しゃぶと冷菜の梅土佐和え>
冷菜は胡瓜・水菜・水ナス・みょうがをチョイス。ポン酢・かつお節・ねり梅のすっぱダレで食欲増進



ヤオヤプラス,サミットストア 西小山店,
東急ストアフードステーション西小山店

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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