「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.38

[実験酒]山形正宗 実験醸造 2016 720ml

隠れキャラを探せ!
日土志、事件的実験酒を体験



いよいよ夏本番!
夏休み、アサガオ、自由研究。
それから実験醸造の季節がやって参りました。

アホタレ、そんな季節あるわけない。
毎度そんな実験してたら、
小さな酒蔵にとっては蔵の存続に関わる。

とはいえ、日本酒の文化、酒造りの伝統を
守るためには、時に冒険というか、
挑戦精神が必要なのも事実。

そうした乱世にあって、
名刀の切れ味するどい「山形正宗」が
またもやってくれた。

ザ・エクスペリメンタル・ブリューイング!
実・験・醸・造!!



[実験酒]山形正宗 実験醸造 2016 720ml

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前回ご紹介した山形正宗は、
「蔵付き酵母仕込み」でござった。

野生の酵母を使用することは、当然、
クラシックへ回帰する試みであるとふんで
オイラ飲んだわけ。

だけども想定外も予想外、
ネオ・モダーンな味わいへと
昇華されていて震えたんだよねー。

だけじゃなテイジンッ!

他にも蔵元では、オイラがハマっている
「生もと造り」や「貴醸酒」のほか、
ワイン造りの手法である
「MLF(マロラクティック)発酵」を
取り入れた「 まろら 」なんて商品も
ちゃーんとラインナップされてる。

ぜーんぶ最近の話だよ?!
すごくね?!
もはやエクスペリメンタル・ブリュワリー。
実験醸造所。なんつて。

んじゃあ、そんな蔵元が
実験酒って呼ぶお酒って何? って話で、
まず飲んでみるね。




よく冷えた状態のものをグラスに注ぐ。
香りを嗅ぐがかなり落ち着いている印象。
口に入れると、最初は高原の清水を
含んだような錯覚に陥る。とってもクリア。

と思った次の瞬間、氷砂糖のような
冷っとして骨格のある甘みと
トロピカルフルーツの酸味、
バナナチップスを食べた時のような
甘美でクリーミーな香りがドッと押し寄せる。

しっかりとした厚めのボディ感で、
いつものするどいキレ味は鳴りをひそめ、
余韻嫋嫋(よいんじょうじょう)たなびいて消える。

「なんすかコレ?! 飲んだことないよ!」

とはいえ、脳内のもう一人のオイラと、
合わすツマミをすぐさま算段ス映画祭!
今日はこいつで飲(や)る。



雲白肉(ウンパイロウ)

中華の前菜、定番の雲白肉。
豚バラ肉とキュウリの薄切りの冷菜だ。

タレはポン酢、醤油、ごま油に、
すりおろしたニンニクと砂糖(三温糖)、
胡麻と輪切り唐辛子を混ぜてかける。

ピーラー使えばキュウリの薄切りも
ラクチンだし、さっぱり頂けて食が進む。
簡単だけど夏にぴったりのスタミナ料理さ。

これなら実験酒に絶対合う! はず……、
いざっ。




豚バラ1枚にキュウリ2枚の配分でツマむ。
胡麻の風味とおろしたニンニクが効くぅーーー!

ここに無謀のようにも思えるが、
山形正宗で追っかける。

するとどうだ、
豚バラの脂と三温糖の甘味に、
実験酒の甘酸とバナナ様のスイーティな風味が
見事にマッチングー!

強めの酸に裏打ちされた
スカイラインGT-Rばりの剛性なボディと余韻が
肉にもニンニクにも青臭さにも負けずランデヴー。
湾岸ミッドナイトを駆け抜けた。

今日も今日とて、
「アンエクスペクティッド・
エクスペリメンタル・エクスペリエンス・
ウマックス!」
(想定外の実験的体験の天上美味!)




実はこのお酒ってば、幾つかの
異なる実験酒をブレンドしたものだそうで
一様でないわけ。

例えば、醪って一般的に三段仕込みという
手法で仕込むんだけど、二段で行ってみたり、
仕込み配合を従来の標準的な歩合(※1)と
変えたり、アルコール度数を変えたり……
と、色々な実験を敢行。

その実験で造られたお酒の中から、
デキの良いものだけを抽出しブレンド。
つまり、この世に2度と生まれてはこない
奇跡的なモノなの。

なるほど、肉やニンニクにも負けない
力強い味わいを備えているのもうなずける。

こいつは雲白肉のタレみたいに
甘酢や三杯酢に砂糖を加えたものとか
甘酸っぱい味付けに合うから、

料理で言えば、酢もつや甘辛の手羽煮、
スペアリブなんかに合わせても抜群だと思うよ。

※1……麹歩合、酒母歩合、汲水歩合など。
詳しくは SAKE ディプロマへの道 vol.5 をご参照ください。




それに、
お酒を手に入れた先は貴方の実験室。

グラスでゆっくりと、
冷酒から常温へ手元での温度変化や
封切りから1日、2日……と時間経過による
味わいの変化を体感するのも面白いぜ。
また、それに応えてくれる酒でもある。

今の今しかない時代の空気感、
蔵元の(サムライ)スピリット、
色んな要素が詰まった
今しか飲めない実験醸造酒。

トライしないともったいないぜ。
ほいじゃーね!




上の写真のラベルを見てみて!
実は「正宗」の文字がいつもと違う。
ちょっと人間に見えないかしら。

これって、実験がうまくいくよう
山形正宗君が汗を流しながら
酒造りしている様子だって。

演出が細かいね。
山形正宗君、カワユス笑


☆ちょこっとスタディ☆
山形正宗

今日は実験醸造だったから、
実験、実験言ってきたけど
勘違いされちゃあ困ることもある。

新しい試みをおそれないから
ラディカル(急進的)な酒蔵と
思われるかも知れないけれど、

「自然」な造りを目指している
最もセンシブルな蔵元でもあるってこと。

だって、製麹(せいきく)時の
作業台となる床(とこ)や櫂をはじめ、
酒造りに関わる様々な道具は、
全て地元産の木材で設えたもの。。

だから、お酒に木のいい香りが
付くこともある。

今回の実験酒では気付きにくいけど、
スーッと穏やかさを呼び込む木の香りは
文字通りの「自然」な造りを実践した結果なのだ。

これぞ本当のスローフード、
スローライフ。




名刀もかくやのキレ味を誇る
山形正宗が醸した、
魅惑の事件的「実験酒」。

「自然」な造りを実践する酒蔵が
指向したものは果たして何だったのか。

これを飲めば自ずと解は見つかる……。
2度と味わえない日本酒の“今”を
存分に体験してください。


数に限りがあります。
お早目にご注文ください。



日土志が飲んでいるお酒

[実験酒]山形正宗 実験醸造 2016 720ml
 

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今週のつまみ

<雲白肉(ウンパイロウ)>
オイラの大好物。熟成古酒や山廃系の純米酒で合わせてみても相性よさげ。試してみて!



サミットストア 西小山店
 

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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